freee のマネージャーが「最軽量のマネジメント」を読んだらほとんどギャップを感じなかった
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年末に Twitter のタイムラインで見かけた「最軽量のマネジメント」を読了しました。グループウェアの開発で有名なサイボウズの副社長・山田 理さんの著書です。
マネージャーの端くれとしてタイトルに興味を惹かれたのはもちろんのこと、鎌倉投信の「結い 2101」という投資信託を通じてサイボウズに投資しているので、経営者の方の想いを知りたかったという理由もあります。
自分は freee のエンジニアチームのプレイングマネージャーをやっていますが、この本の内容にほとんどギャップを感じませんでした。というのも、freee ではすでに当たり前のことが多かったからです。
たとえば、前半に情報の徹底公開が語られていますが、freee では「あえて、共有する(通称、あえ共)」というカルチャーを大切にしており、オープンにできる情報はだいたい共有されています。本書でも例に上がっていますが、経営会議の議事録も(インサイダー情報を除いて)共有されています。自分が freee に入社したときに一番大変だったのは、洪水のように共有される情報を取捨選択することだったのを読みながら思い出しました。
freee では Google ドキュメントを活用しているので、コメント機能でディスカッションが盛り上がることもよくあります。これも後半に書かれているメンバーの質問責任と同じ文脈だと思います。
また、マネージャーは役割の違いであって地位や権威ではないというのも同じです。 freee ではマネージャーのことを「ジャーマネ」と呼んでいますが、ジャーマネは上に立つ従来のようなマネージャーではなく下から支えるような役割が期待されています。 freee の執行役員のインタビュー記事から引用します。
「経営陣を含めた話し合いで、階層はあっても決してそれが『偉い・偉くない』につながらないようにしようと決めました。当社の場合、組織図は横向きに階層を表現しており、上下が必要なときには直接お客様に接しているメンバーが一番上で、トップが一番下。チームを束ねるジャーマネはあくまでメンバーを支えるために存在していますし、メンバーが最も輝ける状況をお膳立てするのがジャーマネの役割です」
100 人 100 通りの距離感を受け入れる
ほとんどギャップを感じなかったと書きましたが、マネージャーとして考えを改めたいと思ったポイントはいくつかありました。一番印象に残ったのはこの部分です。
サイボウズは、すべての社員に 100% の忠誠心を求め、100% の信頼を築くのは、あきらめました。忠誠も信頼も「あるかないか」の 2 択ではなく、あくまでグラデーションとして存在するものだ、としました。
freee には大企業のような細かいルールはなく自由で働きやすい環境ですが、その自由には大きな責任が伴います。自分の中では責任とは仕事で成果を出すこと、そのためには常に成長し続ける必要があると思っています。自分は趣味の先に仕事があるので、それをあまり大変だとは感じません。スタートアップには、そういった成長志向の強い人が多いです。
そういう環境にいると、どうしても生存者バイアスに取り憑かれてしまいます。自分と違うタイプの人(仕事とプライベートをきっちり分けたい人、それほど成長に興味がない人など)をメンバーに持つと、マネージャーとしてどう接したらいいのか戸惑うのです。
100 人 100 通りの距離感を受け入れるためにも、本書で取り上げられているようにメンバーと雑談し、お互い心地のいい距離感を見つける必要がありそうです。
おわりに
この本はマネージャー向けに書かれていますが、個人的にはメンバーのときにぜひ読みたかったと感じました。マネージャーは完璧じゃない、メンバーにも質問責任がある、などはマネージャーになった今だからこそ理解できるようになりました。
これからマネージャーを目指すかどうかに関わらず、メンバーの方もぜひ読んでみてほしいです。